雨に洗い流されるタイプの透明人間。 

 せがんで買ってもらったピンクは、綿あめ、ぬいぐるみ、アイスクリーム。５０年たった今では何も残っていない、花のよう。

もっと高級感を出したいと、口に出して言ったら気が楽になった。
 

 雑草という名の花になりたし、ピンクと緑。

 

 調律されていないピアノたちが黙り込む。

 「雨の音は一か所に集まらないからスゴイね。」

千手観音が植物であったら、手が１０００本くらいあるのは当然だろう。風が吹いても、大観衆の拍手の音にならないのはさみしいけれど。

 昨夏の終わり、木の枝でできた蜘蛛の巣。

 あちらこちらに張り巡らされた糸といえば、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」はどうなのか。地獄より極楽の方がいいって、現世的すぎないか。鬼太郎の髪の毛のほうが心惹かれる。

 宝石電波。

電波系の人々は正しかった。

 

 先週、京都からの帰り道、新幹線の切符を落とした。東京駅で気が付いて窓口に相談に行ったら、色々問い合わせてくれて、京都駅の落とし物のところに私の切符が届いていることがわかった。本当にありがたかった。自分のものであると証明するために京都駅のキオスクのレシートを見せたり、切符購入の券売機の位置や時間も伝えた。現金ではなくクレジットカードで購入していれば、切符がカードの番号を記憶しているので、もっと時間がかからずに手続きできたらしい。

 「ＡＩよ、海の水は飲みたくないと思ってるものたちを描け。」

 もしも私がAIだったらどんな絵を描くか考えると楽しい。

 のどが渇いていることを理解してくれないヤカン。

 ヤカンの裏声。

 何を食べても音の響く店。

タップダンスの音でできてる人。

 

「心が冷たすぎて、お腹をこわしちゃった。」
 

 「虚栄心て結構いいよね。」

 なりたい自分になるという考え方には鏡が必要なのだろう。

 海苔のマスクで顔を覆い、数の子くわえたオニギリ君。

マスクで外出が結構好きになった。次はお面をかぶって街を歩く時代がきたらいいな。
 

顔のない可愛い人形を買った。商品名は「ゴザ編み器具」だった。
 

海苔屋さんのシールを顔に貼って誤魔化す。
 

いろんな所で行列している人たちの顔を描くのが億劫だ。
 

 ガチャの丸い空き容器を入れる網。

 東京らしい場所といえば高田馬場駅前の二つ並んだ郵便ポスト。無意味に迷う。

 夢の中の生き物たちが現実の世界を見に来たいと言う。