冬の間はぬいぐるみが年をとらない。

 昨日の雨でスニーカーにはり付いた桜の花びら、昨日のうちに取ればよかった。

 心は紫色だとレモンが言う。それでこんなに酸っぱいのかとみんなが納得する。

 「足の裏で月を絞るひとがいるから空っていやなんだ。」

 星空の星に混じったレモンを駆除する。

 ピンクの素麺より珍しい赤い画鋲。

 画鋲はサボテンと同じくらい足が細い。

 手足が細い生き物を描くのは面倒だという人はたくさんいると思う。そういう人たちの描いた絵を集めて展覧会が開かれたら、ぜひ観に行きたい。

 

 ボウフラ、ティンカーベル。

 コップの中の水平線、その２。辻褄の合わないことを無理に説明しなくてもいいのにね。

 コップの中の水平線の説明模型。

 コップの中に水平線がある。これは水平線と呼んで良いのか。

 不安や心細さは青い空に投影したほうがキレイ。

 帰り道のために、どれくらい余力を残せばいいんだろう。

特に行きたいとは思わない場所への案内図。
 

 春の一句

山菜の　産毛浮かべた　洗い桶

 この絵はもうこれでいいやと思う頃、物語性は抜け落ちている。

耳を履くうさちゃん。
 

 うさちゃん、お耳なくしちゃったの？かわりは靴下でいい？

急いでいないほうの風の音。

 ひかりが足りない白い空。

「今を生きる」を毛嫌いしなくてもいいような気がしてきた。春があって、風が吹いて、私はいない。いい感じ。
 

どうしても、お葬式の匂いしか思い出せない。
 

 テレビのリモコンのスイッチをオンにしたら、テレビじゃなくてエアコンがついた（ような気がする）。

造花も春がうれしい。
 

 手のひらを貫通する緑の光線。

 風が吹くたびに、春はずいぶん寒いところから来るんだなあと思う。

 マチスが好きな人から絵葉書をもらった。あの人はこれが好きなんだと思って見るとすごくいい。

 夢の中でパーティーの招待状をもらった。日付けは忘れてしまった。万年筆で書かれた文字が雨でにじまないように、ビニール袋に入れてあったのに。

無口なひとはリンゴもおなかで食べる。